アミノ酸の特徴として、両性化合物である、ということを述べました。
これがアミノ酸のその他の特徴にも影響を及ぼしてきます。
アミノ酸は両性イオン同分子内に-COO⁻と-NH₃+をもつため、これらのプラスとマイナスの電荷が他のイオンとクーロン力によって引き合うことで、強固なイオン結晶を形成することができます。
イオン結晶でかたく結びついているため、比較的高い融点をもち、水に溶けやすいが有機溶媒には溶けにくいという特徴をもちます。
水に溶けやすいのは、水分子が極性をもっているからです。具体的には、H₂Oのうち、Oはマイナス、H2個はプラスの電荷を帯びています。(「双極子」といいます)
これらがアミノ酸のもつプラス(-NH₃+)とマイナス(-COO⁻)と引き合うことで、アミノ酸分子が水中に分散されます。アミノ酸のひとつひとつのイオンが水分子で囲まれているような状態です。(これを「水和」といいます)
有機溶媒に溶けにくいのは、有機溶媒は低極性、または無極性のものが多く、水のように引っ張る力が働かない(もしくは弱い)ので分離しないためです。
ここまで書いて、疑問がわいてきたので整理。
Q:アミノ酸が強固なイオン結晶を形成するのは両性イオンのときだけ?酸性溶液中で陽イオンになっているときや、塩基性溶液中で陰イオンになっているときに、他のイオン(例えば溶媒中のイオン)と結合したときも強固なイオン結晶を形成するのか?
A:酸性条件でも塩基性条件下でもアミノ酸は他の陰イオン、陽イオンと結合することで強固なイオン結晶を形成することがある。例: 塩化アミノ酸結晶
ただし、これらは外部のイオンが必要。他の有機化合物に無いアミノ酸の特徴としてイオン結晶が挙げられるのは、両性イオンのときにアミノ酸単独で結晶を形成することができるから。
Q:有機溶媒は低極性・無極性のことが多い?極性をもつ溶媒もあるよね。
A:有機溶媒にも極性をもつものはあり(エタノールやアセトンなど)、その場合はアミノ酸は溶ける可能性がある。高校化学で「有機溶媒=無極性溶媒」のような記述があるのは便宜的で単純化されているためで、厳密には間違い。
これについて今日は調べ、またまとめは次回!
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